刑事コロンボ・第4話『指輪の爪あと(Death Lends a Hand)』は、第1シーズン第2話(S1E2)にあたるエピソードです。短気な探偵のブリマー(ロバート・カルプ)が犯人です。
あらすじ
探偵会社の社長ブリマーはある人物から妻レノアの不倫調査を依頼され、調査の結果、不倫は事実であることが判明します。ブリマーは不倫の事実を依頼人には伝えずに隠し、不倫をネタにレノアを強請ろうとします。しかし、ブリマーの思惑通りにことは進まず、逆にレノアから強請られそうになります。そして、口論になったブリマーは、カッとなって、妻を殺してしまいます。殺害後、ブリマーは死体を近くの廃車置き場へ運び、物取りの犯行に偽装します。コロンボは強盗殺人を疑い、被害者が不倫をしていた事実をつかみ、指輪をしていることから探偵のブリマーに嫌疑をかけます。そして、決定的な証拠を掴むため、ある罠を使ってブリマーを自白させます。

©Universal City Studios
登場人物とキャスト
- コロンボ警部(ピーター・フォーク)
ロサンゼルス市警の警部。 - ブリマー所長(ロバート・カルプ)
犯人。成功した探偵社の社長。元警察官で、自社の最新設備と情報網を駆使し、事件捜査に協力するふりをしてコロンボを欺こうとする。傲慢で短気な性格が特徴。アーサー・ケニカットから不倫調査の依頼を受けていた。 - レノア・ケニカット(パトリシア・クローリー)
被害者。アーサーの年若い妻。親子にみえるほど年齢は離れている。ゴルフのインストラクターと不倫している。ブリマーに脅迫され、全てを夫に打ち明けることを決意した際に殺害される。 - アーサー・ケニカット(レイ・ミランド)
新聞王と呼ばれる大物実業家。新聞社を三つ経営する。若い妻レノアの死に悲しみながらも、警察の捜査に圧力をかける。 - ケン・アーチャー(ブルット・ホールジー)
レノア・ケニカットの浮気相手であるゴルフインストラクター。コロンボに追及されるが、犯人ではないと見抜かれる。 - デニング(エリック・ジェームス)
ブリマー探偵社の社員。コロンボ警部の案内役を務めるが、口が軽い性格のためブリマーに怒鳴られる場面も。
| 名前 | キャスト |
|---|---|
| ブリマー Brimmer |
ロバート・カルプ Robert Culp |
| レノア・ケニカット Lenore Kennicutt |
パトリシア・クローリー Pat Crowley |
犯人
ブリマー
コロンボ同様ファースト・ネームは登場しない。ただ、小説版にはマイケルという名前が付けられている。
コロンボシリーズには珍しい計画性のない犯罪であるが、被害者の足取りがつかめないという偶然が重なっているため、ミスの出にくい非常にシンプルな犯行になっている。こっそりやって来た被害者をこっそり殺して、こっそり捨てただけなので、これは、盛大な罠を仕掛けないと逮捕できなさそうである。幸運を味方につけた犯人だったが、いてもたってもいられない短気な性格だったので、これでもか!というくらい見事に罠にはまっている。そもそも、短気だったから罪を犯したので、勝手な想像だけれども、神話に出てきそうな教訓めいたものを感じたりもする。一度犯した過ちに対して、神様が手を差し伸べて下さったのに、懲りずにもう一度同じ過ちを犯してしまった…という感じでしょうか。
トリック解説
犯人のブリマーは不倫に関する内密な話をするため、被害者となるレノアを呼び出しています。このとき犯人に殺害の計画はありませんでした。しかし、短気な犯人は交渉が決裂し、カッとなって被害者を殴ってしまいます。これが原因となって被害者は倒れ、頭を打って死亡します。
被害者は誰にもみられないように行動しており、誰にも行き先をつけず、車も使っていませんでした。犯人にとっては好都合な状況だったといえます。
なお、物取りの犯行に見せるため、被害者から金目のもの(指輪)を奪い、死体は廃車置き場へと移動します。さらに、ブリマーは探偵として事件の捜査に加わり、部下を使ってコロンボの動向を掴みます。コロンボを捜査から外すため、探偵事務所に引き抜こうともしています。
犯人のミス
コロンボがブリマーの犯行を疑う根拠です。突発的な犯行のため、偶然の要素が強いといえます。また、幸運なことに犯人はほとんど何も偽装せず済んでいますので、ミスが生じる余地というのも少なくなっています。
犯行の証拠
ブリマーによる犯行を証明しうる証拠です。
- 被害者の頬の傷
犯人が被害者を殴ったため、被害者の頬には傷が残りました。この傷が指輪によってつけられたことが判明し、犯人は左利きであることや手の甲で殴られているため、咄嗟に暴力をふるったことなどが推理されます。なお、コロンボは手相を確認するふりをして、ブリマーの指輪を確認しています。 - サインと利き手
犯人はサインの際に、左手で書いています。左利きというのは、犯人の特徴と一致します。これについてブリマーはコロンボの嫌疑から逃れるため、右手でも字を書けることをコロンボに教えています。
ちぐはぐな証拠
死体は動かされた形跡がありました。強盗がわざわざ死体を動かすというのは不自然です。
コロンボの罠
コロンボは被害者がコンタクトレンズをしていたことを利用し、ブリマーを罠にはめます。なお、たまたま免許が切れかかっていたコロンボは免許更新で被害者が眼鏡をしていたことやコンタクトレンズの存在に気付きます。
被害者は近眼だったので、常にコンタクトレンズをしていました。このことに気付いたコロンボは被害者のコンタクトが犯行時に落ちたのではないかと期待します。しかし、調べてみると、コンタクトはなくなっておらず、両目とも、死体に残っていました。しかしコロンボは決定的な証拠を掴むため、死体のコンタクトがなくなっており、コンタクトの見つかった場所が犯行現場に違いないという嘘をブリマーにつきます。
コロンボの嘘を信じたブリマーは殺害現場となった自宅でコンタクトを探します。しかし、コンタクトは見つかりません。そこでブリマーは死体を運んだ車を調べようとします。ところが、死体を運んだ車は修理に出していました。短気なブリマーは自動車修理工場に忍び込みコンタクトを探します。
ブリマーが車のトランクでようやくコンタクトを見つけ出した時、コロンボや大勢の刑事が登場します。コンタクトを探していたことや持ち去ろうとしたことに対して全く言い逃れできないブリマーは、罪を認めます。
ブリマーの車にコンタクトを用意したのはコロンボ自身です。車を修理に出すように仕込んだのもコロンボです。コロンボはブリマーをおびき出すため、車のマフラーにじゃがいもを詰めてエンジンがかからないように細工していました。
感想
ブリマーが犯行隠蔽作業をするシーンで、彼のサングラスの左右のレンズに別々の場面が映し出される演出は、非常に斬新で印象的です。ペンをよくなくすコロンボですが、今回はマッチをなくしているようです。あとは、少年の乗ったブランコがすごい高い気がしました。故障していると言い放つ犯人が追い詰められるエピソードは古畑任三郎「動く死体」と通ずるもの感じます。
口コミ分析
海外サイトの口コミには、detective、goodなどが書き込まれています。

余談
- ロバート・カルプは、本作を含め『刑事コロンボ』で3回犯人役を演じており、さらに『新刑事コロンボ』でも犯人の父親役で登場しています。
- 被害者の夫アーサー・ケニカットを演じたレイ・ミランドは、後に第11話「悪の温室」で犯人役のジャービス・グッドウィンを演じています。11話『悪の温室』についてはこちらにまとめています。
- ケニカット氏の豪邸(通称ビバリー・ハウス)は、映画「ゴッドファーザー」や「ボディーガード」にも登場した有名な邸宅です。
- ブリマーのファーストネームは作中では明かされませんが、ノベライズ版では「マイケル」とされています。
- 原題「Death Lends a Hand」(死は手伝う)は、事件解決の鍵となった「コンタクトレンズ(Lens)」にひっかけた洒落だとされています。
- 脚本段階でコロンボがヘッドライトの片方が壊れた車で白バイに止められるシーンがあったが、ピーター・フォークが「そんな車はありえない」と主張。しかし、議論中にフォークのジャガーのヘッドライトが壊れているのが偶然発見され、フォークが折れてシーンが採用されたという逸話がある。
この記事のまとめ
刑事コロンボ「指輪の爪あと(Death Lends a Hand)」について、あらすじやトリックをご紹介しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計画性 | なし |
| 偽装工作 | 物取りの犯行 |
| トリック | ― |
| ミス | 死体の頬の傷 |
| 動機 | (カッとなって) |
| 凶器 | (突き飛ばし) |
| コロンボの罠 | コンタクト |

