刑事コロンボS3E7「白鳥の歌(Swan Song)」のあらすじとトリック解説です。歌手として大活躍する犯人が、飛行機事故に見せかけて二人を殺害するエピソードです。
あらすじ
歌手のトミー・ブラウン(ジョニー・キャッシュ)は、妻に、バックコーラスの少女と関係をもったという弱みを握られ、稼ぎの全てを奪われていました。
売れっ子歌手なのにレンタカーに乗っているトミーは、稼ぎの折半を申し出ますが、断られたため、妻と少女を飛行機事故にみせかけて殺します。
妻と少女を睡眠薬で眠らせ、ひとり手製のパラシュートで脱出したトミーは、骨折しながらも、証拠となるパラシュートを隠します。そのあとすぐに、墜落現場へ向かい、あたかも、飛行機事故にあったようにみせます。
コロンボは、死んだ妻の弟から捜査依頼を受け、飛行機事故を殺人事件として捜査します。そして、現場検証の結果などから、不審な点を見つけ出し、トミーによる殺人を疑います。
コロンボは、いつものように、犯人のトミーを質問攻めにしますが、うまくかわされ、決定的な証拠を掴めません。
脱出に使用したパラシュートがまだ残っていると考えたコロンボは、飛行機墜落現場付近をしらみつぶしに捜索するというような嘘の情報を、それとなくトミーに伝えます。トミーがパラシュートを拾いに行く、と考えたコロンボですが、トミーは罠にかからず、飛行機でロスを離れます。
しかし、トミーがレンタカーの鍵を持っていたことに気付いたコロンボは、トミーが戻ってくることを確信し、待ち伏せ。トミーがパラシュートを持って現れたところを押さえます。

©Universal City Studios
登場人物とキャスト
- コロンボ警部
ピーター・フォーク
ロサンゼルス市警の刑事。コロンボのかみさんはトミー・ブラウンのファンらしく、レコードを持っているとのこと。このエピソードで再びコロンボの高所恐怖症が描かれている - トミー・ブラウン
ジョニー・キャッシュ
【犯人】カントリーミュージシャン。妻エドナに過去の弱み(未成年者メアリ=アンとの関係)を握られ、収益をすべて搾取されている。このことに耐えかね、エドナとメアリを飛行機事故にみせかけて殺害する。元空軍所属でパラシュート整備の経験がある。移動の際には旅客機の隣席を購入して手元に置くほどギターを大切にしている。ちなみに、人気歌手なのに普段の移動はレンタカーだった - エドナ・ブラウン
アイダ・ルピノ
【被害者】トミーの妻であり、新興宗教「魂の十字軍」の主宰者。トミーの過去の弱みを盾に、歌手としての収益金を全て教会の建築費に充てている。冷酷で支配的な性格 - メアリ=アン・コップ:ボニー・ヴァン・ダイク
【被害者】トミーのソプラノボーカル。3年前にトミーが未成年だった彼女と関係を持ったことが、エドナによるトミーへの脅迫のネタとなっている。「魂の十字軍」の信者で、エドナに付き従う - ジェフ:ダグラス・ダークソン
飛行機整備士。トミーのファン。トミーが魔法瓶を飛行機に持ち込むのを目撃 - ルーク・バスケット:ビル・マッキーニー
エドナの弟。トミーとは犬猿の仲。姉の死を不審に思い、警察に告発する。これが殺人課のコロンボが捜査を始めるきっかけとなる - ローランド・パングボーン:ジョン・デナー
国家運輸安全委員会の調査員。コロンボの鋭い観察眼に感心し、その手腕を評価するようになる - グリンデル氏:ヴィトー・スコッティ
葬儀屋。コロンボに葬儀プランを売り込もうとする
トリック解説
犯人のトミーは標的の妻と少女を飛行機に乗せ、睡眠薬入りのコーヒーで眠らせた上で飛行機を墜落させ、ふたりを殺します。トミー自身はパラシュートで脱出し、事故に遭ったが奇跡的に生還したようにみせます。
- 悪天候のフライト
トミーは事故をもっともらしくするため、悪天候の中をフライトしています - パラシュートの準備
トミーはパイロットカバンにパラシュートを詰め、搭乗します。トミーは、兵役の際、パラシュート整備を担当しており、扱いには慣れていました。なお、パイロットカバンには、普段、地図などが入っており、パラシュートは入っていません。トミーは、カバンの中身がどうなったかコロンボに尋ねられた時、窓が曇ったので窓を開けたら全部外に吸い出された、と答えています。なお、パラシュートは「魂の十字軍」の施設から45平方ヤード分のナイロン生地が手に入れ、手作りでパラシュートを制作しています - 睡眠薬
トミーは、魔法瓶にコーヒーと睡眠薬のバルビタールを入れ、それを妻と少女に飲ませます。もしも死体からバルビタールが検出されても、乗り物酔い薬であると言い逃れできます - 暖房
犯人は、フライト中、故障を装って暖房を切り、寒がった二人に魔法瓶を渡しています。被害者のエドナは「まずい」と言っていますが、寒くて仕方ないので、やむを得ず飲んでいます
トミーは着地時に足を骨折しています。この状態で、パラシュートを畳んで倒木の下に隠し、墜落現場まで辿り着いて気を失ったふりをしています。
犯人のミス
コロンボが真犯人に気付くヒントです。
事件の捜査のきっかけは、トミーは大事なギターが飛行機事故で失われることを避けるため、飛行機にギターを載せていなかったことです。このような行動は、今回がはじめてのことでした。コロンボが気付いたわけではなく、被害者の弟が殺人を疑うきっかけとなっています。
- パイロットのシートベルト
墜落現場の状況から、パイロットはシートベルトを外していたことが明らかになります。これに対して、トミーはコロンボに飛行機の中のライトが切れたため、懐中電灯を探そうとしてシートベルトを外したと説明しています。本当のところは、パラシュートで脱出するためシートベルトを外しています - 睡眠薬の量
死体からバルビタールが検出され、トミーは乗り物酔いの薬を服用したと話しますが、乗り物酔いにしては量が多くなっていました - 編曲の依頼のタイミング
バックコーラスの少女が死ぬ事を知っていたトミーは、編曲の変更を依頼していました。これについてトミーは「素晴らしい声の持ち主が見つかったので、事故に関係なく変更するつもりだった」と言い逃れします - フライトへの違和感
気象庁の回答により、フライト時にロサンゼルスの天候は荒れ模様だったことがわります。トミーは悪天候を承知でフライトを行なっていました
コロンボの罠
コロンボは、パラシュートを探すためトミーに「魔法瓶が見つからないので捜索する」という嘘を伝えます。コロンボの罠を回避するため、トミーはロスを旅立とうとします。この時、空港の金属探知機に引っ掛かり、レンタカーの鍵を取り出します。コロンボはこの鍵を見逃さず、これから旅に出るという人物がレンタカーの鍵を持って飛行機に搭乗したことから、犯人が戻ってくることを確信します。
コロンボは夜間に墜落現場で待ち伏せし、隠しておいたパラシュートを回収しに来たトミーをパラシュートという決定的な証拠とともに逮捕します。
感想
兵役時、犯人は、コロンボがMP(軍隊内の犯罪捜査などが任務)だった、と推理しますが、実際は、炊事場の見張りでした。おもしろシーンです。原題は「Swan Song」で直訳の「白鳥の歌」が日本語タイトルになっています。なお、Swan Songには最後の作品という意味もあります。
- シリーズの中でも名作のひとつとして挙げられることが多い。ジョニー・キャッシュの演技力と存在感、そして劇中で披露される歌声などがみどころのひとつ
- ラストシーンでコロンボがトミーにかける「これほどの歌が歌える人に悪い人はいませんよ」というセリフが感動的で。シリーズ屈指の名言と称賛する視聴者もいる
- 犯人トミー・ブラウンの犯行動機には同情できる部分があり、コロンボシリーズとしては珍しいエピソードである。ただし、未成年者への犯罪には不快感を覚え、共感できないという声も多い
口コミ分析
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小ネタ
- ジョニー・キャッシュ
犯人トミー・ブラウンを演じたジョニー・キャッシュは、実際にカントリーミュージック界の伝説的な大御所である。劇中のトミーの経歴(アーカンソー州生まれ、農業、空軍入隊、前科など)には、ジョニー・キャッシュの実生活と似ている部分が多い - I Saw the Light
たびたび流れるテーマ曲は、ハンク・ウィリアムスの楽曲「I Saw the Light」。ラストシーンでトミーがコロンボの車のヘッドライトに照らされる演出は「私は光を見た」という歌詞とリンクしている - 葬儀屋との会話シーン
葬儀屋グリンデル氏(ヴィトー・スコッティ)が登場する場面は、本筋と関係ないため、過去の放送ではカットされていたことがある。このシーンなど、コロンボの声優が変わるのはカットの影響と考えられる - 魔法瓶
トミーが飛行機に持ち込んだ魔法瓶は、22話「第三の終幕」でコロンボが警察署で使っていたボトルと同一タイプ
まとめ
刑事コロンボ「白鳥の歌」について、ネタバレありであらすじやトリックをご紹介しました。最後にドラマの内容を、殺人の計画性、偽装工作、犯人のミス、動機、凶器、トリック、コロンボの罠で簡単にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 殺人の計画性 | あり |
| 偽装工作 | 飛行機事故を偽装 |
| ミス | パラシュートの回収 |
| 動機 | 秘密を知る人物の始末 |
| 凶器 | (睡眠薬) |
| トリック | ― |
| コロンボの罠 | 魔法瓶の捜索 |
犯人は、被害者に弱みを握られていました。動機は「金」とも言えます。

