『金田一少年の事件簿 魔術列車殺人事件(アニメ)』は金田一少年最大の宿敵であり、シリーズ全体を通して金田一を苦しめることになる「地獄の傀儡師」こと高遠遙一が初登場する記念すべきエピソードです。アニメは4話構成となっており、1話目は1998年1月12日(月曜日)に放送されました。登場する怪人は『地獄の傀儡子』です。この記事ではあらすじ、事件の概要や伏線の解説、ネタバレ、犯人の考察などをご紹介しています。
あらすじ
警察へ届いた脅迫状がきっかけで、死骨ヶ原(しこつがはら)へ向かうことになった金田一、美雪、佐木、そして、剣持警部一行は、乗車した魔術列車で奇術団の団長が行方不明となる事件や列車爆破騒動に巻き込まれます。偶然居合わせた明智警視と合流した金田一らは、爆破騒動の後、列車の客室で団長の死体を発見します。しかし、その死体が、ほんの一瞬の隙に、消え去るという奇怪な出来事に遭遇します。団長が行方不明のまま、列車は目的地のホテルに到着。そこで荷物検査が行われますが、死体らしき不審物は発見されません。ところが、その後ホテルの一室で、ねじれたマリオネットのようになった団長の死体が発見されます。
マジックショーの最中には、奇術団のナンバー2だったノーブルが殺害され、団長の妻であり団員だったマーメイドもまた、殺されてしまいます。死体消失のトリック、そして、列車から死体を持ち運んだ方法に頭を悩ませる金田一でしたが、マーメイド殺害に関して、犯人が犯した決定的なミスに気付き、ついに、真相へとたどり着きます。

©天樹征丸・金成陽三郎・さとうふみや
講談社・読売テレビ・電通・東映アニメーション
登場人物
金田一一、七瀬美雪、佐木竜太、剣持勇、明智健悟以外の登場人物をまとめます。
- ジェントル山神(じぇんとる・やまがみ)
幻想魔術団の団長。本名はやまがみふみお。最初の被害者。 - ノーブル由良間(のーぶる・ゆらま)
スタンダップマジックの貴公子。ノーブルの意味は、高潔な、気高い、崇高な。二番目の被害者。 - マーメイド夕海(まーめいど・ゆみ)
ウォーターマジックの人魚姫。団長の妻。三番目の被害者。 - ピエロ左近寺(ぴえろ・さこんじ)
カードマジックの道化師。 - チャネラー桜庭(ちゃねらー・さくらば)
サイコマジックの霊媒師。 - 残間さとみ(ざんま・さとみ)
魔術団の見習い。 - 高遠遙一(たかとう・よういち)
魔術団のマネージャー。 - 長崎巧四郎(ながさき・こうしろう)
死骨ヶ原湿原ホテルの支配人。 - 都津根毬夫(とつね・まりお)
ホテルの宿泊客。ゴムマスクの男。 - 近宮玲子(ちかみや・れいこ)
故人。天才マジシャン。魔術団の初代団長。五年前に死骨ヶ原湿原ホテルで死亡。
事件概要と謎
列車の客室から消えた団長の死体、そして、団長の死体をどうやって列車から持ち出したのか、というのが謎です。列車で起きた爆発騒動、都津根の正体なども謎のひとつです。
団長の殺害
団長の死体はホテルで発見されました。しかし、その前に、列車の客室で多くの乗客が死体を目撃しています。
- 死体消失の謎:客室(コンパートメント)で死体を目撃した金田一らは、煙が上がったため、爆弾と勘違いし、急いで扉を閉めました。再びドアを開けると、そこに死体はありません。爆弾の爆発もなく、ただ風船が割れただけでした。
- 爆破予告の謎団長の死体が目撃される前に、地獄の傀儡子による爆破騒動が発生します。列車は、貨物専用の駅に停車し、乗客を避難させますが、爆破は起こりません。起きたことといえば、何かが打ち上げられバラの花が舞い落ちる、ということだけでした。
由良間の殺害
ノーブル由良間は、ホテルの劇場で死体が見つかりました。マジックの最中でした。由良間殺害に関しては、犯人は誰なのか、そして動機が謎といえます。
なお、劇場は金田一によって偶然生み出されたクローズド・サークルにより犯人が絞られています。また、マジックに使われた人形を重しにして落下速度を下げ、天井から飛び降りるというトリックが使われたことが推理されます。
夕海の殺害
マーメイド夕海はホテルの客室の目の前にある木に、死体が吊るされていました。ノーブル由良間殺し同様、犯人は明らかではありません。なお、犯行時、夕海が悲鳴をあげたため、金田一らがすぐに現場へ駆け付けています。
伏線と手掛かり
金田一が真相に気付くきっかけです。まずは金田一は、団長の死体が消えた客室に、風船があった理由を考えています。
証拠
トリックや真相を暴くヒントです。
団長の手
佐木が録画した映像から、客室にあった団長の、死体の手が浮いていることが明らかになります。手には風船がくくり付けられているので、風船で、手が浮き上がったことになります。
体重
由良間の死体発見時に、それぞれが自身の体重を申告しています。
| 名前 | 体重[kg] |
|---|---|
| チャネラー桜庭 | 81 |
| ピエロ左近寺 | 72 |
| 残間さとみ | 55 |
| マーメイド夕海 | 53 |
| 高遠遙一 | 50 |
ヒスイの原石
ホテルの各客室には、死骨ヶ原のかつての名産であるヒスイの原石が置かれていました。しかし、夕海の部屋に原石はなく、代わりに、下の部屋に、原石が二つ置かれていました。このことから、金田一は、犯人が、夕海の部屋のヒスイの原石を持って窓から降りたと推理します。
真相(ネタバレ注意)
犯人はマネージャーの高遠遙一です。彼は死んだ近宮玲子の息子でした。近宮は、山神、夕海、左近寺、由良間に追い詰められ、天井から舞台へ落下し、亡くなっていました。
犯人
- 地獄の傀儡子=高遠遙一(たかとう・よういち)
のちのエピソードにも登場する犯罪者で、金田一少年シリーズにおける犯罪界のナポレオン(=モリアーティ教授)といえる存在になる。基本的に犯罪をコーディネートしてプロデュースする立場なので、自身が罪を犯すことはないが、このエピソードでは自分の恨みを晴らすために、自らで犯行に及んでいる。
マジックのトリックは観客を楽しませるために使われるのだが、ミステリーにおけるトリックは罪から逃られるために用いられることが多い。トリックによって仕掛けられた謎が面白くて、ワクワクしてしまう探偵や刑事もよくみかけるが、犯人の方は完全犯罪のためにトリックを駆使している。ところが、この犯人は違う。種も仕掛けも御座いません云々――団長さんの死体が消えた!なんて不思議なんだ!ということで、ちょっと冷静になって考えてみると、それがどうした?と思わなくもない。やはり、ありきたりだが首を使って生きているようにみせて死亡推定時刻をずらす、とかが組み合わさっていないと、トリックだけという印象になってしまう。
しかし、高遠の場合は犯罪芸術の域に達しているので、そんな細かくてうるさい難癖の類は無視できる。だって脱獄できるもん。罪から逃れるとか、そんなみみっちいことは考える必要はそもそもないのである。
死体消失トリック
金田一らが列車の客室で目撃した死体は実は首だけでした。
- 胴体の運搬:胴体は爆破騒動で列車が停車した時に運び出されました。犯人は隣に停まっていた貨物用列車(トレイン急便)に死体が入った鞄を乗せ、ホテルへと運びました。
- 顔の運搬:客室にあった顔は本物の団長の顔です。犯人は、小さな手提げかばんに入れ、首だけを運搬しました。死体を探すための荷物検査だったため、人間の体全部が入りそうにない鞄は見逃されていました。
- 都津根毬夫の正体:都津根毬夫は高遠遙一です。高遠は都津根宛てにあらかじめ鞄を発送し、貨物用列車に載せていました。事前に送った鞄と、死体が入った鞄をすり替えることで、死体入り鞄をホテルの客室へと届けることができます。
犯人のミス
夕海殺害時、犯人は、駆けつけた金田一らによって逃げ場を失いました。そこで、窓から逃げようとしますが、体重が足りなかったためヒスイの原石を使うことになります。
動機
近宮が死んだ理由は弟子だった山神、夕海、左近寺、由良間がマジックノートを手に入れようとしたためです。近宮のマジックノートは二つあり、その一つを息子である高遠遙一が持っていました。幻想魔術団のマジックショーをみて、それが近宮のマジックそのものであるこを知った高遠は母親が殺されたことに気付きます。そして、復讐のため、山神らを殺します。
なお、近宮を天井に呼び出したのは山神達です。目的は脅迫でした。そして、天井の渡し板に細工をしたのは左近寺です。これを目撃したのがチャネラー桜庭でした。
結末
金田一にトリックを暴かれた高遠は、あっさりと犯行を認め、大人しく連行されます。
後日、マジックショーの最中にピエロ左近寺が焼死します。原因はスポットライトの熱で、マジック用のリンが早々と燃えたためでした。後に、金田一らは、左近寺達が手に入れたマジックノートに、近宮の仕込んだ罠があったことに気付きます。さらに、高遠が脱走したことも知った金田一は天性の犯罪者である高遠を捕まえる決意を固めます。
感想
File1からFile3のエンディングで、地獄の傀儡子の声が「?」になっています。File4では地獄の傀儡子自体が消えてしまい、声の主は不明です。これは迷宮入りでしょうか。
この記事のまとめ
金田一少年の事件簿「魔術列車殺人事件」(アニメ)について、あらすじ、トリック、真相などをご紹介しました。
| 話 | 放送日 |
|---|---|
| 33 (FILE1) |
1998年 1月12日 |
| 34 (FILE2) |
1月19日 |
| 35 (FILE3) |
1月26日 |
| 36 (FILE4) |
2月2日 |

