名探偵ポワロ・第35話
名探偵ポワロ『負け犬(The Underdog)』のあらすじ、トリック解説です。化学メーカーの社長が殺されるエピソードです。
あらすじ
ある日、アストウェル化学に何者かが侵入し、会社の機密書類を盗み出そうとします。社長であるサー・ルーベンは機密を自分で管理するため、書類を自宅に持ち帰るのですが…。
翌日、ポワロはサー・ルーベンのコレクションを鑑賞するため屋敷を訪れます。いささか不愉快なディナーを済ませ、ポワロは屋敷を後にします。そして翌朝、撲殺されたサー・ルーベンの死体が発見されます。
警察は不審な行動をとった被害者の甥であるチャールズを逮捕しますが、ポワロは他に犯人がいると推理します。被害者の遺産は妻と弟に渡り、チャールズには何も相続されないようでした。
屋敷には、被害者の妻と、その話相手であるリリーという女性がおり、実は彼女は化学会社に侵入した男と親しい間柄のようでした。そして、サー・ルーベンの死後、ついに書類は侵入者の手元に届きます。その書類を狙っていたのは、どうやら大学の教員のようでした。
登場人物
ポワロ、ヘイスティングス大尉、ミス・レモン以外の登場人物です。
- サー・ルーベン
被害者。アストウェル会社の社長 - ナンシー・アストウェル
ルーベンの妻 - ビクター・アストウェル
ルーベンの弟 - チャールズ・レバソン
ルーベンの甥。殺人容疑で逮捕される - リリー・マーグレーブ
ナンシーの話相手 - ホレース・トレフューシス
アストウェル化学の化学者。冒頭、手紙を受け取っている - ハンフリー・ネイラー
ホテルの客
注目のシーン
ミス・レモンの知られざる特技。

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
謎
サー・ルーベンを殺した犯人は誰か?というのがメインの謎です。
被害者は撲殺されていました。殺される前に弟のビクターと言い争いになっています。その直後、妻とも軽い口喧嘩をしているようです。この後、チャールズが書斎に入りました。チャールズが犯人でないとすれば、妻が最も怪しい状況といえます。しかし、妻が書斎の中にいた時、外の廊下に弟のビクターがいました。
屋敷の中にいたと思われる人物は、リリー、トレフューシス、そして、執事とメイドです。リリーは書類を狙っており、最も怪しい人物といえます。
機密と口論
会社の機密書類が狙われています。新素材に関する書類のようですが、リリーと正体不明の男がこの書類を狙っています。リリーの不審な行動を目撃したルーベンは、リリーを解雇しようとしていました。ルーベンと妻の口喧嘩は、これが原因です。
社長のルーベンは新素材をドイツ最大の化学メーカーに製造許可を与えようとしているようです。弟のビクターは、戦争に使われることを危惧し、このことに反対していました。これが、二人の言い争いの原因です。
手掛かり・伏線
殺人の謎を解くヒントです。
ポワロはチャールズは犯人ではないと考えているようです。彼は血の付いたシャツを洗い、さらに、逃亡を図っていますが、それでも犯人ではないようです。
証言
トレフューシス、チャールズ、ナンシーによる証言です。ミス・レモンの催眠術により、被害者の妻ナンシーから重要な証言が得られます。
内容をまとめると以下のようになります。
- ドイツ
化学者のトレフューシスはドイツ語が得意らしく、ドイツ人の友人も多い。侵入者があった日、彼は手紙を受け取り、新素材がドイツの会社で製造されるという噂を知っていたと考えられる。なお、トレフューシス本人は事件当夜「寝ていた」と証言 - 死体発見
チャールズが書斎に入った時、ルーベンは既に死んでいた。彼は自分が疑われると思い、その場から立ち去り、逃亡を図った - 妻と弟
被害者の妻と弟は愛し合っていた。つまり二人は非常に親しい仲だった。二人が共謀してルーベンを殺し、その死体をチャールズが発見したとも考えられる - 影
ナンシーが夫と口喧嘩になった時、部屋の中に誰かがいたらしい。その人物は書斎の奥にある寝室に隠れていたという。その寝室はカーテンで仕切られており、人が隠れているような気配があった。
証拠
庭でリリーの服の布切れがみつかります。一歩も外に出ていないというリリーの証言と矛盾する証拠ですが、彼女は「事件のあった日よりも前に破れた」といって、言い逃れしています。
ポワロに問い質されたリリーは逃亡し、ネイラーという人物に会いに行きます。
推薦状
リリーの推薦状は確かなもののようでした。つまり、リリーは信頼できる人物といえます。
しかしながら、リリーとネイラー氏の関係や、何故そのような人物が機密書類を盗み出そうとしていたのかなどの謎は残ります。
真相(ネタバレ注意)
犯人はトレフューシスです。彼はある契約書を盗み出すため書斎に忍び込んでいました。
トレフューシスは新素材の開発者として会社とある契約を結んでいました。しかし、ドイツの会社で新素材を製造する方向で話が進んでいたため、契約は何の意味もなくなってしまいます。この契約書を手に入れるためトレフューシスは書斎に忍び込んでいました。しかし、そこにルーベンが戻ってきてしまいます。
手口
被害者のルーベンが書斎に戻ったため、トレフューシスはカーテンの裏に隠れます。書斎から逃げるタイミングをうかがうトレフューシスですが、そこに弟のビクター、そして、妻のナンシーが現れます。
トレフューシスは二人がいなくなった後、こっそり部屋の外へ向かいますが、ルーベンに気付かれてしまい、咄嗟に近くにあった銅像でルーベンを殴ります。殺害後、犯人は逃げようとしますが、書斎にチャールズがやってきてしまいます。再び犯人は隠れ、様子を窺うことになります。
実はもう一人、書斎に現れた人物がいます。リリーです。チャールズの後に書斎に入った彼女は金庫に保管されていた書類を盗みます。
リリーの正体
リリーの本名はリリー・ネイラーです。大学の教員であるネイラーの妻でした。推薦状はnayrorをmargraveに書き換えて、名前を誤魔化していました。
新素材を最初に開発していたのはネイラーでした。ネイラーはアストウェル化学と共同で素材の開発を進めましたが、ルーベンが裏切り、成果を盗用します。
結末
真相を明らかにされ、負け犬と呼ばれたトレフューシスはルーベンをひどく罵ります。
感想
1時間のドラマですが、充実した内容だったと思います。『負け犬』というタイトルは、物語の真犯人であるオーエン・トレファシスの人間性や、彼が長年虐げられてきた状況を象徴 しているように感じられます。
この記事のまとめ
名探偵ポワロ「負け犬」のあらすじ、真相をご紹介しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼 | ― |
| 事件分類 | 殺人 |
| 謎 | 犯人は誰か |

