電車ジャック
古畑任三郎S3E10・S3E11「最後の事件」のあらすじとトリック解説です。
テロリストの日下光司(江口洋介)が犯人です。ここでは、前編・後編をあわせた内容をご紹介しています。なお、このエピソードが第3シーズンの最終話となっています。

あらすじ
SAZの日下光司とその仲間は、裏切者が持ち去ったボストンバッグを取り戻そうとします。しかし、裏切者がバッグを電車内に置き去りにしたため、バッグは鉄道会社の遺失物センターに送られることになってしまいます。なんとしてもバッグを取り返さなければならないSAZは、電車のハイジャックをでっち上げ、公安の刑事として鉄道会社に潜入する計画を立てます。身代金を入れるカバンにボストンバッグを使わせて、バッグを取り返すという計画でしたが、そこに、サブレを返しにきた古畑が登場します。
登場人物(キャスト)
主な登場人物をまとめます。
| 名前 | キャスト | 説明 |
|---|---|---|
| 日下光司 | 江口洋介 | 犯人 テロリスト |
| 浅香忠夫 | 斎藤洋介 | 犯人 テロリスト |
| 大和田五郎 | 水道橋博士 | 犯人 テロリスト |
| 山本一郎 | 山崎一 | 犯人 テロリスト |
| 江田 | 杉崎浩一 | 犯人 テロリスト |
| 牟田 | 小原雅人 | 被害者 裏切者 |
| 武藤田 | ささきいさお | 鉄道員 |
犯人
日下光司(くさか・こうじ):SAZ(動物愛護団体)の過激派。落とし物センターにあるバッグを取り返すために、電車ジャックしたようにみせるという、謎かけのような手口である。鉄道会社の社員に変装して落とし物センターに忍び込めばよかったのではないかと思ったりもするのだが、それではゲームにならない。テロリストの知人がいるわけでもなく、そんなことをしたいと思ったことも一度もないので、テロリストの気持ちなんてわからないのだが、確実で地味な犯行よりも、不確実でスリルのある犯行のほうが、やりがいがあるのかもしれない。
日下が犯したミスはペンをノックする癖だった。癖や習慣というのは、ミステリーの犯行において、よく利用されるので、改めた方がいいかもしれない。例えば、寝る前にシロップをなめる習慣があると、シロップが毒にかわっていたりするのである。
最初のセリフ(前編)
皆さんの前に登場して早5年、これまで様々な犯人と出会ってきました。発作的にしろ計画的にしろ、彼らには罪を犯すだけの理由がありました。
今回登場する犯人はそう言った意味では最も危険なタイプの犯人と言えるかもしれません。すなわち、犯罪をゲームとしか考えていない人物……、手強そうです。
最終回ということで、犯人が非常に危険な人物であることを強調しています。
最初のセリフ(後編)
これまで私が関わってきた多くの犯罪者たち。彼らに共通しているのは、誰一人、逮捕の瞬間、悪あがきをしなかったということ。彼らは犯行を認めた後、進んで自供してくれました。誇り高き殺人者。そして、それが私の自慢でもあるのです
最後の展開をほのめかしています。そう簡単には自供しない、という視聴者からの声に対する答えにもなっているように思います。
暗転のセリフ
えー、さて、今日のポイントは、私はなぜ彼が偽の警官と見破ったか、そして、どの段階で確信を持ったのか?……古畑任三郎でした
日下を疑い始めたきっかけと、偽物であると確信した根拠について問われています。
トリック解説
日下とその仲間は、ボストンバッグを取り返すため、電車をハイジャックしたようにみせます。
電車ハイジャック偽装
犯人は、電車をハイジャックしたようにみせ、身代金を小銭で要求。運悪く遺失物保管所に保管されてしまったボストンバッグを取り返そうとします。なお、ボストンバッグには組織のアドレスが書かれた手帳が入っていました。日下達のねらいは、バッグそのものやキーホルダーというよりも、手帳にありました。
ハッキング
日下の仲間である大和田(水道橋博士)が電車の運転指令所のコンピューターをハッキングし、電車をハイジャックしたようにみせます。
偽刑事
日下とその仲間は、公安の刑事に成りすまして指令所に潜入します。
このとき、ハイジャックするという予告があった、という嘘をつきます。
こうすることで、事件が起こる前に、警察が指令所に現れても不自然ではない状況をつくります。
犯人のミス
古畑が、犯行を疑い、真相に辿り着く手がかりとなります。
日下の癖
日下は、考え事をしているときに、ボールペンをノックする癖を持っていました。
このノックの音が、ハイジャック犯からの電話に入っていました。そして、公安の刑事として指令所に潜入した日下が、この癖を古畑の目の前でみせます。
おかしなハイジャック
通常のハイジャック事件では考えられない状況が散見されます。
予告
ハイジャック予告、というのは、通常では考えられません。
ハイジャックを予告すると、警察に潜伏され、簡単に捕まる可能性があります。
身代金が小銭
身代金が、重くてかさばる小銭でも問題ないというのは、不自然です。
交渉役の交代
犯人の交渉役が途中で交代します。交代した後、指令所に日下が登場します。
身代金の受け渡し場所が4つ
犯人は4回も身代金を受け取ることになります。
組織の手帳
日下は、古畑に疑われていることに気づき、目的のバッグをすり替えます。
しかし、古畑の疑いに気付いた日下に気付いていた古畑は、先に手帳を見つけます。
古畑の罠
古畑は、推理の確証を得るため、犯人を罠にはめます。
警察手帳
古畑は偽物の警察手帳を日下にみせます。その手帳が偽物であることに気付かなかった日下を、警察官ではないと判断します。
後編の終盤、スポットライトを浴びた古畑は、自分が日下を疑い始めたのはどの段階か、そして、確証を持ったのはいつか、という疑問を投げかけます。
疑い始めたのは、日下がボールペンをノックする音です。確証を持ったのは、古畑が偽物の警察手帳を見せたのに、日下がそれに気づかなかったためです。
結末
最後、紳士的なテロにこだわった日下は、奪った身代金を返そうとして野球場にやってきます。そこに古畑ら警察が現れ、日下は捕まります。
「古畑さん!すぐに戻ってきてくれますよね?」
感想
トリックなどももちろん面白い作品ですが、サブレのくだりが印象的です。
ハイジャック偽装など、刑事コロンボには登場しないシチュエーションです。なお、タイトルはシャーロック・ホームズ「最後の事件」と同じですが、内容は全く異なります。最後の事件、というタイトルですが、古畑シリーズは続きます。ホームズも最後の事件にはなっていないので、“最後の事件にならない”という部分は共通しています。
この記事のまとめ
古畑任三郎『最後の事件(最も危険なゲーム)』について、あらすじやトリックをご紹介しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 殺人の計画性 | (なし) |
| 偽装工作 | ハイジャック偽装 |
| ミス | ペンのノック |
| 動機 | 組織の機密を守るため |
| 凶器 | ― |
| トリック | 偽警官 |
| 古畑の罠 | ― |
犯人は複数おり、そのうちのひとりが、組織の機密を公安にリークしようとした人物を殺しています。
番組情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 脚本 | 三谷幸喜 |
| 監督 | 関口静夫 |
| 演出 | 佐藤祐市 |
| 長さ | 46分 |
| 放送 | 1996年 6月15日(火) 6月22日(火) |
| 視聴率 | 前編23.2% 後編28.3% |

