刑事コロンボS2E8・第17話『二つの顔(Double Shock)』のあらすじとトリック解説です。料理評論家の男が伯父を殺害し、その犯人の男は、実は、双子であることが判明してます。
あらすじ(ネタバレ注意)
料理評論家のデクスター・パリスは、遺産目当てで資産家の伯父を殺害。浴室でミキサーを使って感電死させた伯父をトレーニングルームへと運び、心臓発作に偽装します。
すべてデクスターの犯行と思わる事件でしたが、デクスターには双子の兄ノーマンがおり、しかも、どちらにも明確な動機がありました。
コロンボは、自然死ではなく殺人として捜査を進め、デクスターもしくはノーマンによる犯行を疑います。
どちらが犯人かわからないコロンボでしたが、デクスターとの会話をきっかけに、不仲と考えられていた双子が、実は共犯であることに気付きます。そして、双子の通話記録や、共犯者がいなければ犯行が不可能であるという事実を突き付け自白させます。

©Universal City Studios
登場人物とキャスト
-
コロンボ警部(
ピーター・フォーク
声:小池朝雄)
ロサンゼルス市警の警部 -
【犯人】デクスター・パリス(
マーティン・ランドー
)
料理研究家。陽気で遊び人な性格 -
【犯人】クリフォード・パリス(
マーティン・ランドー
)
銀行員。デクスターの双子の兄。論理的で真面目な性格だが、ラスベガスで多額の借金を抱えている - 【被害者】クリフォード・パリス(ポール・スチュワート)
富豪。デクスターとノー マンの叔父。若いリサ・チェンバースとの結婚を控えていた - ペック夫人(ジャネット・ノーラン)
パリス家の几帳面な家政婦。コロンボとのたびたびやり合う - リサ・チェンバース(ジュリー・ニューマー)
クリフォード・パリスの婚約者。結婚の有無にかかわらず、クリフォードの全財産を相続する遺言が残されていた - マイケル・ハサウェイ(ティム・オコーナー)
パリス家の弁護士 - マーレイ刑事(ダブニー・コールマン)
現場検証を仕切る刑事
トリック解説
一卵性双生児のデクスターとノーマンは仲が悪いふりをした上で、共犯であることを隠し、互いに罪をなすりつけるような言動をとっていました。この振る舞いが、どちらかが犯人であるというミスリードを誘っています。
なお動機は金で、どちらも金に困っていました。ただし、クリフォードの遺言がリサに全財産を相続させる内容に書き換えられていたため、兄弟には遺産が入らないことが判明します。弁護士ハサウェイが遺言の隠蔽を持ちかけてきたとき、兄弟はリサを殺害し、罪をハサウェイになすりつける計画を立てます(具体的には描かれていませんが、リサと面識があるのはデクスターのみであるため、デクスターが実行犯である可能性が高いです)
自然死偽装
犯人はミキサーを浴槽に入れ、被害者を感電死させています。なお、ミキサーを投げ入れたのが双子のどちらであるかは具体的な説明がありませんが、ノーマンだと考えられます。
感電死させた後、ふたりで死体を浴室からトレーニングルームへ移動し、トレーニングルームで死んだようにみせます。
共犯の隠蔽
デクスターとノーマンは、仲が悪くて連絡を一切とっていない双子という設定をでっち上げ、共犯を隠しています。
デクスターが被害者の屋敷にお祝いのために現れたとき、ノーマンも敷地内に侵入しています。その後、デクスターに変装したノーマンが車で屋敷を後にします。これにより、デクスターはそのまま屋敷に残ることができます。ひそかに警報を解除して、ノーマンが窓から侵入できるようにすれば、ふたりともが屋敷内に侵入できるようになります。手順を簡単にまとめると以下のようになります。
- デクスターがパリス邸を訪れ、ノーマンが邸内にこっそり侵入
- ノーマンはデクスターの服に着替え、邸宅を出る姿を家政婦のペック夫人にみせ、車で立ち去る(このとき靴を脱いでいたため、敷地内に扁平足の足跡が残った)
- ペック夫人が自室に戻り、クリフォードが入浴している間に、邸内に残っていたデクスターが警報装置を切り、引き返してきたノーマンを招き入れる
- 浴室で黒い服を着たノーマン(実行犯と推測される)が、導線がむき出しのハンドミキサーをコンセントに差し込み、浴槽に落としてクリフォードを感電死させる
- 同時に、地下の分電盤にいたデクスターがヒューズを入れ、電気を復旧させる
- ノーマンも浴室に駆けつけ、二人で協力して死体を浴槽から引き上げ、体を拭いてトレーニングウェアを着せ、地下のトレーニングルームにある電動バイクに乗せる
- デクスターは私服に着替えて外に出る
- ノーマンは警報装置をセットし、事件発覚まで身を隠す
犯人のミス
コロンボが偽装に気付くヒントです。
証拠
死体が発見された被害者の屋敷の浴室には、誰かが使用した跡が残っていました。
- 使用済みのタオル
浴室には濡れたタオルが置かれていました。このタオルは、家政婦の証言により、事件当日に使われたことが明らかになります - 浴室の足跡
浴室には偏平足の足跡が残されていました。これが双子の特徴と一致します
不自然な言動
風呂の痕跡から、被害者は入浴後にトレーニングを始めたことになります。そうなると、なぜ入浴後に汗をかくトレーニングをはじめたのか、という疑問が生じます。
ちぐはぐな証拠
- 被害者
被害者は、日ごろから体を鍛えていました。そのため、心臓発作で亡くなるというは、考えにくい状況でした - 死体の運搬
浴室の浴槽から死体を引き上げるのは、ひとりでは無理がありました - 短い停電
感電の際に、停電を引き起こしますが、時間は20秒ほどでした。停電を復旧させるためには地下室へ向かう必要があり、浴室からは少なくとも60秒以上かかります。つまり共犯者がいなければ、成立しえない状況です - 通話記録
双子のデクスターとノーマンは不仲だったため、ほとんど連絡を取っていませんでした。ところが、事件の直前に、10回以上、電話でやり取りをしていることが通話記録から判明します
致命的なミス
双子は被害者を殺せば親族である自分達に遺産が入ると考えていました。しかし、資産家の遺言により、遺産は、資産家が結婚する予定だった若い女性に全て渡ることになります。
感想
コロンボが犯行現場で葉巻の吸い殻を床に落とし、几帳面なペック夫人に厳しく注意されるシーンが面白いです。古畑シリーズならありそうですが、コロンボシリーズでは珍しいやり取りだと思います。古畑任三郎「ラストダンス」にも双子が登場していますね。
通常の倒叙形式(犯人が冒頭で明かされる)でありながら、双子の登場によって「どちらが実行犯なのか」というフーダニット(犯人当て)の要素が加わっており、これまでとは違った楽しみ方ができます。一方で、一部の視聴者には、結末の証拠がやや弱い、リサの死の真相が曖昧なまま終わっているという意見もあるようです。
海外サイトの口コミには、twins、housekeeperなどが書き込まれています。
国内の口コミサイトでは、双子、実験、感電などが書き込まれています。
小ネタ
- アドリブ
デクスターの料理番組にコロンボが急遽アシスタントとして出演し、あたふたしながら卵を割るシーンには、ピーター・フォークのアドリブが多分に含まれているといわれています - ティム・オコーナー
弁護士のマイケル・ハサウェイを演じたティム・オコーナーは、後のエピソード・39話「黄金のバックル」で殺害されるエドワード・リットンの役で再登場します - ダブニー・コールマン
マレー刑事を演じたダブニー・コールマンは、後のエピソード・58話「影なき殺人者」で犯人役のヒュー・クライトンを演じています - ロケ地
クリフォード・パリス邸は、34話「仮面の男」のネルソン・ブレナー邸や38話「ルーサン警部の犯罪」のウォード・ファウラー邸と同じ建物です - カモフラージュ
第3話「構想の死角」に「ミステリーで双子の兄弟が出てきたときには、推理を複雑にするためのカモフラージュで、犯人はたいてい別な人間なんだ」という台詞があります。このエピソードでは犯人は双子のどちらも犯人でした
この記事のまとめ
刑事コロンボ「二つの顔」について、あらすじやトリックをご紹介しました。原題は「Double Shock」で直訳すると「二重の衝撃」です。「顔」という単語は使われていないようなので、原題とはやや異なります。最後に、ドラマの内容を、殺人の計画性、偽装工作、犯人のミス、動機、凶器、トリック、コロンボの罠で簡単にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 殺人の計画性 | あり |
| 偽装工作 | 自然死を偽装 |
| ミス | 足跡 |
| 動機 | 遺産 |
| 凶器 | ミキサー(感電) |
| トリック | 共犯(双子トリック) |
| コロンボの罠 | ― |
双子トリックで、犯人がわからなくなるのは、コロンボというよりむしろ視聴者の方です。

