名探偵ポワロ・第3話「ジョニー・ウェイバリー誘拐事件S1E3(Adventure of Jonnie Waverly)」のあらすじ、トリック解説、感想です。タイトルの通りですが、誘拐事件が発生します。誘拐されるのは子供です。
あらすじ
ウェイバリー家の主人マーカスのもとに脅迫状が届く。脅迫状には、息子の誘拐予告と金銭の要求が書かれていた。捜査に乗り出す気配のない警察を捨て置き、マーカスは名探偵ポワロに調査を依頼する。
ポワロとヘイスティングスがウェイバリーの屋敷に到着したその翌日、新たな脅迫状が届く。脅迫状には「息子ジョニーを昼の十二時ちょうどに誘拐する」と書かれていた…。
ポワロはわざわざ脅迫状で警告を与えているだけではなく、時間まで指定していることに大きな疑問を抱く。そして、中断している屋敷の修繕について尋ねるため、修繕業者を訪れ、ウェイバリー家の金はマーカスの妻であるエイダ・ウェイバリーが握っていることを知る。
一方その頃、屋敷の時計を進めるトリックによって、本当にジョニーが誘拐されてしまう。一大事に取り乱すウェイバリー夫人だったが、真相に辿り着いたポワロは至極冷静に事件を解決する。

©Agatha Christie Ltd, ITV BBC
ポワロの「尖塔のポーズ」
登場人物
ポワロ、ヘイスティングス、ミス・レモン、ジャップ警部以外の登場人物です。
- マーカス・ウェイバリー
ウェイバリー家の主人。依頼人 - エイダ・ウェイバリー
マーカスの妻。資産家の娘 - ジョニー・ウェイバリー
マーカスとエイダの一人息子 - トレッドウェル
ウェイバリー家の執事。30年も前からウェイバリー家に仕える。エイダを快くは思っていない - ジェシー・ウィザース
ジョニーの乳母。トレッドウェルの姪 - コリンズ
エイダの秘書
事件のまとめ・謎
ジョニーは本当に誘拐されてしまいます。誘拐犯の正体だけではなく、なぜわざわざ予告する必要があったのかというの謎めいています。
誘拐が真の目的であれば、わざわざ予告せずとも、簡単に人さらいを実行できる状況です。それにも関わらず誘拐犯は二度も、二回目に限っては、丁寧に時刻も指定しています。
- 1度目の予告
最初の予告状では、5万ポンドを要求されます。ウェイバリー家に払えない金額ではありませんでしたが、金は支払いませんでした - 2度目の予告
ポワロらが屋敷に到着した日の翌日、再び、予告状が届きます。その予告状には、12時にジョニーを誘拐するという内容で、主人の枕に貼り付けられていました。主人の証言によると、彼が少しベッドを離れた隙に置かれたようです。
- 使用人の解雇
2つ目の予告状を置いたのは屋敷内部の人物に違いないと盲信する主人は、執事と夫人の秘書を残して、他の使用人を解雇します。このとき、まだ誘拐予告時間の12時にはなっていませんでした。
これにより、屋敷の中には、ほとんど誰もいない状況になります。解雇騒動の中で、ジョニーの乳母が主人に激しく反発しています。結果、即刻、屋敷から出ていくように命じられています - 夫人の痙攣
ポワロらが到着した日の夜、夫人が痙攣を起こします。命に別状はありませんでしたが、以降、寝室で休養することになります - 誘拐
予告のとおり、12時ちょうどに、ジョニーが何者かに車で連れ去られます。
このとき、ジャップ警部率いる警官達が屋敷の警備に当たっており、ジョニーがいた部屋には、主人のマーカスと警部がいました - 不審人物
ジョニー達がいた部屋には置時計があり、この時計が12時を示したとき、屋敷周辺で不審人物がみつかります。
警官に呼ばれた警部だけではなく、主人も、その場を離れ、ジョニーは一人きりになってしまいます - 進んだ時計
置時計の時刻は、10分進められていました。つまり、不審人物がみつかったのは実は11時50分でした。置時計が丁度12時を示していたので、誘拐犯が捕まったと勘違いした警部と主人は、油断し、ジョニーから遠ざかってしまいます - 秘密のトンネル
ジョニーが一人になったあと、誘拐犯は、屋敷にある秘密のトンネルを使って、逃走します。屋敷の外を警官がうろついていても、問題はありません
伏線・手掛かり
ポワロは、様々な状況証拠をもとに、犯人を推理します。
主人のマーカスは明らかにおかしな行動をとっています。使用人の解雇はその一つですが、その他にも、不審人物が見つかった時、主人は、息子を置いて、警部についていっています。マーカスが怪しく思える事件ですが、彼には確固たるアリバイがあり、犯人ではないようにみせます。しかしながら、共犯者がいれば、犯行は可能です。
- 謎の証言
不審人物は妙な人物に頼まれて屋敷に、11時50分きっかりに侵入したと話します。この不審人物は、執事の息子のような見た目の奴だったと証言しますが、執事に息子はいません - 執事のアリバイ
妙な人物が不審人物と接触した頃、執事にはアリバイがありました。これを証言しているのは、主人のマーカスです
ネタバレ
犯人はウェイバリー家の主人マーカスです。体裁を気にするマーカスには、屋敷修繕のための金が必要でした。共犯者は執事と乳母です。ジョニーを連れ去ったのは乳母です。乳母は執事の姪でもあり、屋敷の秘密のトンネルを知っていました(屋敷に現れた不審人物と話をしたのは、おそらく執事です。アリバイは主人が嘘をついていると考えられます)
以下の内容には考察も含まれます
最初の脅迫状は手荒な真似はせずに金だけを手に入れるために、誘拐を予告したと考えられます。しかし、うまくいかず、警察沙汰はまぬがれましたが、名探偵ポワロを屋敷に招くことになります。そこで、ポワロを出し抜くために、時間を指定し、不審人物と置時計のトリックを使ったと考えられます。結果、ポワロではなくジャップ警部をだますことになりましたが、誘拐自体はうまくいきます。
ポワロが、車で出かけることを予想できたか、と発言しているため、車の故障は偶然のようです。誰かが、車のメーターを壊した、もしくは、燃料を抜いたようにもみえます。
結末
全てを見抜かれた犯人のマーカスは、ポワロをジョニーのもとへと連れて行きます。そこには、解雇された乳母と、ジョニーがいました。
感想と考察
誘拐を予告するというのが、謎めいています。殺人を予告したり、宝石強盗を予告したりするのも結構みかけます。理由が犯罪美学だったりすると、ミステリー視点ではちょっとガッカリですが、このエピソードについては、意外性のある答えが用意されていました。
ポワロがシャーロック・ホームズでおなじみの「尖塔のポーズ」を披露しています。『コックを探せ』でも登場していました。
金が目当てであれば、誘拐して、金を得て、子供を無傷で返せばよかったように思えます。しかし、手紙だけで金が手に入るのであれば、そちらの方が、手間が省けます。
ところが、脅迫状を出したばかりに、探偵や警察が集まり、誘拐を実行しにくい状況になりました。すぐに誘拐したのは、警察や探偵がいなくなってからでは遅いほどに、逼迫していたためだと考えられます。
逼迫といえども、明日すぐに屋敷が崩れてしまうような状況ではなかったと思われます。しかし、マーカスには、ぼろい屋敷が耐えられなかったようです。
修繕業者は、屋敷がいずれ崩れ落ちる、と話していますが、もしもすぐにでも修繕が必要な危機的状況であれば、夫人も費用を払ったはずです。
この記事のまとめ
名探偵ポワロ「ジョニー・ウェイバリー誘拐事件」のあらすじ、真相をご紹介しました。このエピソードは英国放送でも日本放送でも第3話です。第4話は『24羽の黒つぐみ』です。
- ウェイバリー家に誘拐予告と金銭の要求を書いた脅迫状が届き、ポワロが調査にあたるが、ウェイバリー家の子供ジョニーが誘拐される
- 首謀者は父親のマーカス・ウェイバリーだった
- 金を手に入れるために、自分の子供を誘拐しようとしていた
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 監督 | レニー・ライ Renny Rye |
| 脚本 | クライブ・エクストン Clive Exton |
| 原作 | アガサ・クリスティ Agatha Christie |
| 制作 | LWT (現ITV) |

