ミステリーに登場したトリックのまとめです。トリックと一緒に作品もご紹介しています。ネタバレ満載ですので、最初にネタバレとなる作品のリストを掲載しています。
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作品リスト
この記事に登場する作品のリストです。リストに記載された作品のみトリックをネタバレしています。複数のトリックが登場する作品については、メイントリックと思えるものだけを掲載している場合があります。
作者 (タイトル) | 作品名 |
---|---|
ドイル | 空き家の怪事件 |
ドイル | 銀星号事件 |
ドイル | まだらの紐 |
ポー | モルグ街の殺人 |
ポー | 盗まれた手紙 |
モリスン | レントン館盗難事件 |
フットレル | 十三号独房の問題 |
オルツィ | ダブリン事件 |
チェーホフ | 安全マッチ |
コリンズ | 人を呪わば |
コリンズ | 誰がゼビディーを殺したか? |
ブラマ | ブルックベンド荘の悲劇 |
ポースト | ズームドルフ事件 |
クロフツ | 急行列車内の謎 |
有栖川有栖 | 46番目の密室 |
綾辻行人 | 十角館の殺人 |
古畑任三郎 | VSクイズ王 |
古畑任三郎 | 古い友人に会う |
森博嗣 | 黒猫の三角 |
森博嗣 | 捩れ屋敷の利鈍 |
森博嗣 | λに歯がない |
横溝正史 | 八つ墓村 |
江戸川乱歩 | D坂の殺人事件 |
動物
動物を使ったトリックです。
犯人
動物が犯人だった。
モルグ街の殺人
犯人はオラウータン。
エドガー・アラン・ポーの短編推理小説。世界初のミステリーと広く認識されている。1841年の作品であるため、著作権は消滅しており、無料で読むことができる(翻訳は訳者の権利が存続している場合がある)。
ドラマ「あなたの番です」のオラウータンタイムの元ネタでもある。
銀星号事件
被害者は馬に蹴られて死んでいた。
コナン・ドイルの短編推理小説。
凶器
動物が凶器だった。
まだらの紐
凶器に蛇が使われる。被害者は蛇を“まだらの紐”と見まちがえ、謎をよぶ。
コナン・ドイルの短編推理小説。シャーロック・ホームズが事件を解決する。
レントン館盗難事件
犯人は調教したオウムを使って宝石を盗んでいた。
アーサー・モリスンの短編推理小説。
利用
証拠隠蔽などに動物を利用する。
古い友人に会う
自殺を他殺にみせるため、硝煙の付いたスカーフを犬に隠させる(埋めさせる)。
ドラマ古畑任三郎で登場。
十三号独房の問題
監獄に住むねずみを使って外部と連絡を取る。
脱獄ミステリといわれる作品で、主人公のヴァン・ドゥーゼン教授(別名;思考機械)が7日間で脱獄できるかどうか試すというストーリー。
自然
自然現象を使ったトリックです。犯人が自然現象を利用して事故死にみせかけるや、そもそも事故死だったなどの結末があります。
雷
落雷を使ったトリックです。
ブルックベンド荘の悲劇
雷雨の日に被害者を感電させ、落雷による感電死にみせかける。
アーネスト・ブラマの推理短編小説。この短編は犯行を未然に防げるかどうかという構成になっている。
太陽
太陽を使ったトリックです。
ズームドルフ事件
ガラスによる太陽光の集光によって銃が暴発する。
メルヴィル・デイヴィスン・ポーストの推理短編小説。
密室
密室トリックです。基本的には自殺や事故死偽装のために用いられます。
脱出
犯人が現場に隠れ、発覚後にうまく逃げる。
黒猫の三角
密室と思われていた部屋に、実は犯人が隠れて残っていた。共犯者の協力を得て、死体発見時にこっそりと逃げた。
森博嗣の長編推理小説。Vシリーズ一作目。
VSクイズ王
出前をたくさん注文し、出前持ちを集合させる。自分も出前持ちに変装して、死体発見のどさくさに紛れて逃げる。さらに、くさやをばらまくことで、顔をハンカチで隠していても不自然ではない状況をつくる。
ドラマ古畑任三郎で登場。
抜け道
密室ではあるが、人は通れない程度の穴や隙間、衆人環視における空白の時間などがある密室。
46番目の密室
暖炉の煙突から壺を落として殺害し、死体を焼いて証拠を隠滅する。
有栖川有栖の長編推理小説。火村英生シリーズ第一作。
λに歯がない
免震構造の仕組みを利用することで建物が動き、脱出経路が生まれる。
森博嗣の長編推理小説。
まだらの紐
現場は密室だったが、部屋には通気口があった。犯人は毒蛇を通気口から這わせ、殺人を決行する。
コナン・ドイルの短編推理小説。
動物を使ったトリックと密室の組み合わせ。
急行列車内の謎
走行する列車が衆人環視によって密室となる。車外に出る多少の時間はあったが、掴まるところがないため、車外には出れそうになかった。しかし犯人は糸とロープで手すりを作り車外へ出ていた。
フリーマン・ウィルス・クロフツの短編推理小説。
遠隔殺人
凄腕のスナイパーが狙撃するや毒殺などの遠隔殺人による密室殺人・
空き家の怪事件
虎狩りで有名な軍人が犯人。特殊なライフルを使って狙撃する。
コナン・ドイルの短編推理小説。シャーロック・ホームズが事件を解決する。
勘違い
心理的にだまして密室のようにみせる。押すだと思っていたら引くだったというような類。
D坂の殺人事件
長屋の古本屋で住民が殺害され、衆人環視による密室状態だったと主人公が騒ぎ立てる。実際は容疑者が長屋の住民に絞り込まれただけだった。
江戸川乱歩の短編推理小説。
捩れ屋敷の利鈍
ドアは固定されていて建物の方が動くという仕掛け。登場人物はドアが開かないので密室だと思い込む。
森博嗣の長編推理小説。
連続殺人
連続殺人のトリック(分類)です。
隠蔽
動機の隠蔽です。
八つ墓村
遺産相続という動機を隠すため、次々と人を殺す。
横溝正史の長編推理小説。金田一耕助が登場する作品。
なすりつけ
罪を他人になすりつけるトリックです。
「あの人が犯人です」と堂々と嘘をつくのも、なすりつけのトリックといえます。
証拠捏造
物的証拠を捏造し、罪をなすりつけるトリック。
ダブリン事件
遺言状を偽造し、その遺言で最も利益を得る人物に罪をきせる。
バロネス・オルツィの短編小説で、隅の老人が登場する作品。
盲点
意外な場所、意外な人物など、心理的な盲点を使ったトリックです。
隠し場所
死体の隠し場所、盗んだものの隠し場所、凶器の…など、誰にも見つからない隠し場所のトリックです。
盗まれた手紙
粗末に扱っているようにみせ、さらに、あえてもっとも目立つところに置いておく。
エドガー・アラン・ポーの短編小説。傑作選で上位にランクインすることが多い作品。
意外な人物
あまり目立たない人物、気にされない人物などが犯行に関わっているというトリックです。
人を呪わば
美人で魅力的な女性が犯人。
ウィルキー・コリンズの短編小説。文房具店で起きた盗難事件を若い傲慢な男が調査するが、真犯人の夫人に惚れてしまいヘマをやらかす。
誰がゼビディーを殺したか
この作品も美人で魅力的な女性が犯人。
ウィルキー・コリンズの短編小説。下宿屋で殺人が起き、主人公の警官が美人の料理人に惚れるお話。事件は迷宮入りし、警官は料理人と婚約するのだが、終盤で料理人が犯人だったことが判明する。
叙述
叙述トリックは、一般的に、読者が騙されるようなトリックと言われており、作者VS読者において使われるトリックです。例えば、女性だと思っていたら男性だったなどです。変装によって登場人物も読者と一緒に騙されている場合は、叙述トリックというよりは変装トリックといえるかもしれません。なお、こういった類のトリックは『偏見』だとみなされることもあるようです。
ミス
登場人物のミスや勘違いなどが原因でミスリードが生じるパターンです。
安全マッチ
死んだと思われていた被害者は生きていた。警察(捜査にあたった人物)の勘違い。
アントン・チェーホフの短編小説。行方不明になった被害者の死体は見つかっていないが、警察は現場に残された様々な証拠から殺人事件と断定する。
一人二役
まったく別の人間だと思っていたら、実は同じ人物だった。変装トリックは用いていない。
十角館の殺人
孤島にいた人物と本土にいた人物が実は同一人物だった。あだ名で呼ばれていたため、読者には同一人物は見抜けないようになっている。
綾辻行人の長編小説。孤島に集まった大学生達が次々に死んでいくというストーリー。